会長ご挨拶



第6回日本疲労学会総会・学術集会 会長 倉恒 弘彦
関西福祉科学大学 教授
東京大学 特任教授
大阪市立大学 客員教授

疲労感や倦怠感は、体の異常を伝える重要なアラーム信号の1つです。"だるい"、"しんどい"という感覚で自覚することが、体を休めるきっかけとなっています。通常このような生理学的な疲労は、ある程度体を休めることにより、 正常な状態に回復し、長く続くことはありません。

一方、風邪などの病気に罹患した場合や自律神経系の障害に陥った場合にも、 疲労感を自覚しますが、病気に伴う疲労感は生理学的な疲労感とは異なり、体を休めるだけではなかなか回復しないことが特徴とされています。

1999年、日本における疲労の実態を調べるために厚生省研究班(班長:大阪大学 木谷照夫)が名古屋地区の一般地域住民4,000名を対象に疲労に関する疫学調査(有効回答数3,015)を行いましたところ、59.1%の人が疲労を自覚しており、35.8%の人では半年以上続く慢性的な疲労が認められていることが明らかになりました。慢性的な疲労が認められた人々の半数近くは自分の生活能力の低下を自覚しており、日常生活や社会生活に重大な支障をきたす慢性疲労症候群という病態に陥っている人も0.3%認められています。

翌年、医療機関受診患者2,180人を対象に疲労に関する調査を行いましたところ、45%の患者で慢性的な疲労が認められ、その半数以上の患者では日常生活に何らかの支障をきたしていましたが、医師が診察をしても病名を特定できたものは約4割に過ぎませんでした。したがって、原因不明の慢性疲労の診療は21世紀の医療機関が抱える重要な課題の1つにもなってきています。

経済産業省の指針を元に1999年の疲労疫学調査結果から日本における慢性疲労による純粋経済損失を算出してみましたところ、年間約1.2兆円に及ぶことが判明、経済的損失という観点からも 大きな社会問題であることが明らかになっています。このように、慢性的な疲労で困っている患者さんが多数みられるにもかかわらず、各地の疲労診療はうまく稼動しているとはいえません。その最大の理由は、客観的に疲労を評価し、診断する基準が確立していないことによります。

そこで、2009年4月、疲労の研究や診療を行っている代表的な施設が集まり、厚生労働省に「自律神経異常を伴い慢性的な 疲労を訴える患者に対する客観的な疲労評価方法の確立と診断指針の作成」研究班(代表研究者:倉恒弘彦)が誕生しました。ここでは、自律神経機能評価や酸化ストレス、ウイルス検査、疲労因子、脳機能解析などさまざまな検査法を用いて客観的な疲労バイオマーカーを確立し、平成23年度に慢性疲労診断指針を策定することを目指しています。

第6回日本疲労学会総会学術集会では、「疲労研究はここまできた 疲労回復=経済回復」をテーマに最近明らかになってきました客観的な疲労の評価・診断法や産業疲労、企業の抗疲労研究の取り組みをご紹介するとともに、慢性疲労症候群の類縁疾患である線維筋痛症についてもシンポジウムとして取り上げました。疲労全般を科学的に扱い、学術の発展や医療の質の向上に寄与するだけではなく、より多くの人々のお役に立てることを心より願っております。

新着情報

2010/06/23市民公開講座の事前申し込みを締め切らせて頂きました。
2010/06/18プログラムの詳細(PDF)をアップしました
2010/06/17市民公開講座事前申し込み定員が後わずかとなりました。
参加ご希望の方はお早めにお申込みください。
2010/05/14演題登録を終了いたしました。
2010/04/23演題の締め切りが2010年5月14日に延長になりました。
2010/03/31演題登録を開始しました。
2010/01/14事前登録を開始しました。
2009/12/15大会サイトを公開しました。
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